着替えができないほど左肩が痛む50代女性|五十肩・肩関節周囲炎の症例


50代女性、デスクワークのお仕事をされている方です。
来院時のお悩み
一番困っていたのは、左肩の痛みと動かしにくさで、着替えが思うようにできないことでした。
症状が始まったのは約1年半前。特に思い当たるきっかけはなく、病院では四十肩・五十肩と診断されていました。
痛みは肩の前側・後ろ側・上側など広い範囲にあり、「ここだけが痛い」というよりも肩全体が固まってしまったような状態でした。
特に腕を上げる、後ろへ回す、着替えるといった日常生活のさまざまな動作に制限が出ていました。
当院で確認した身体の状態
左肩の可動域を確認すると、挙上だけではなく、屈曲・伸展・内旋・外旋と、ほぼすべての方向に動きの制限がみられました。
一方向だけの動作で痛むというより、肩関節全体の可動域が大きく制限されている状態です。
病院で五十肩と診断されていること、発症からの経過、肩全体の痛み、そして多方向への可動域制限などを踏まえ、当院でもいわゆるフローズンショルダー(五十肩・肩関節周囲炎)にみられる状態を念頭に置いて評価しました。
さらに細かく確認したところ
肩全体が動かしにくいからといって、肩を一つの部位としてまとめて施術するのではなく、どの組織の動きが特に悪くなっているのかを細かく確認しました。
初回の評価で特に気になったのは、ローテーターインターバル、肩関節前方の関節包、棘下筋、大円筋、前鋸筋、棘上筋、棘上筋腱周辺でした。
ローテーターインターバルとは、肩関節の前上方にある組織の領域です。五十肩のように肩の動きが大きく制限されている場合には、筋肉だけでなく、肩関節を包んでいる関節包の柔軟性や動きも重要だと考えています。
肩だけでなく姿勢も確認
もう一つ気になったのが姿勢でした。
この方は背中が丸くなり、肩が前方へ入りやすい、いわゆる猫背・巻き肩の姿勢がみられました。
また、骨盤から背骨にかけても姿勢や動きのバランスに偏りがみられました。
肩関節は肩だけで単独に動いているわけではありません。腕を上げるためには肩甲骨や背骨などの動きも必要です。
そのため今回は、痛みのある左肩だけを見るのではなく、骨盤・背骨・肩甲帯を含めた身体全体の状態も確認しながら施術を行いました。
院長が考えたこと
今回の症例では、1年半という長い期間をかけて肩の動きがかなり制限されていました。
このような状態では、痛い筋肉だけをほぐすのではなく、肩関節周辺の軟部組織や関節包の動きを少しずつ取り戻していくことが大切だと考えました。
特に今回のポイントとして考えたのが、肩関節を包んでいる関節包の柔軟性です。
さらにローテーターインターバルや棘下筋、大円筋、前鋸筋、棘上筋・棘上筋腱周辺などを細かく確認し、その時点で動きを妨げている可能性のある部位を施術していく方針としました。
行った施術
施術では、肩関節周辺の硬くなっている軟部組織や関節包に対して、状態を確認しながらリリースを行いました。
一度に無理やり可動域を広げるのではなく、その日の肩の状態を確認しながら少しずつ動きを出していきます。
同時に、肩甲帯・背骨・骨盤などについても、肩の動きとの関係を確認しながら施術しました。
約10日に1回のペースで施術
この方には、約10日に1回のペースで来院していただきました。
1回目、2回目、3回目と、その都度可動域と痛みの場所を確認しながら施術を継続しました。
そして4回目の時点では、初回来院時の痛みを10とすると、本人の感覚としておよそ半分程度まで軽くなっていました。
痛む場所にも変化が
興味深かったのは、施術を続けるにつれて痛みを感じる場所が変化してきたことです。
最初は肩の前・後ろ・上など広い範囲に痛みがありましたが、動きが出てくるにつれて症状を感じる場所がよりはっきりしてきました。
その段階で改めて細かく確認すると、三角筋前部、肩関節前方の関節包、左後斜角筋など、肩から首にかけての組織にも気になる状態がみられました。
そのため、毎回まったく同じ場所を施術するのではなく、その時の可動域や痛みの場所に合わせて施術部位を調整しました。
5回目には「着替えが楽になった」
5回目の来院時には、肩の可動域もかなり動かしやすくなっていました。
そして患者さんから特に聞かれたのが、
「着替えが楽になった」
という変化でした。
さらに、来院当初は難しかった手を腰・背中側へ回す結帯動作も、以前より行いやすくなっていました。
単純に「痛みが何点になったか」だけではなく、最初に一番困っていた着替えという日常動作が楽になったことは、今回の経過を見るうえで大切な変化だと考えています。
院長から
五十肩では「肩が痛い」という症状だけでなく、腕が上がらない、後ろへ回らない、服を着替えにくいなど、日常生活そのものに影響が出ることがあります。
今回の症例でも、肩周辺の筋肉だけではなく、肩関節を包んでいる関節包を含め、どの方向への動きが制限され、どの組織の柔軟性が低下しているのかを細かく確認することを大切にしました。
また、経過とともに痛む場所や身体の状態は変わります。そのため毎回同じ施術を繰り返すのではなく、その日の可動域や圧痛、日常生活で困っている動作などを確認しながら施術内容を組み立てています。
最後までお読みいただきありがとうございました。同じような症状でお悩みの方はお気軽にご相談ください。それではおだいじにどうぞ!
※肩の痛みや可動域制限には、腱板損傷、石灰沈着、骨折、神経症状などさまざまな状態が関係することがあります。症状や経過によっては医療機関での検査・診察が必要です。
※本記事は当院で確認した一症例についてご紹介したものです。施術による変化や経過には個人差があり、すべての方に同様の結果を保証するものではありません。







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